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zoom RSS 映画『陰獣』 〜欧米式日本観光映画〜

<<   作成日時 : 2009/10/19 01:24   >>

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京都駅ビルシネマの10月ラインナップから・・

バーベット・シュローダーの『陰獣』(2008年フランス)を観た。

プレミア上映とかで,料金はロードショー公開と同じ1800円也だった。。


原作は江戸川乱歩だし,日本公開をねらった作品であることに疑いはない。

しかし,調べてみると・・

関西では,この駅ビルシネマと,シネ・ヌーヴォXで10月末から公開予定があるだけ。

8月に渋谷の館で封切られたが,全国でも5館しか上映がない。

残念ながら,日本では“買われなかった映画”ということだ。


ヴェネチア映画祭に出品され,賞は逃したが,それなりに反響はあったらしい。

主演はフランス映画としては,A級スターのブノワ・マジメルだし・・

もう少し買われても良さそうなものだ。


しかし,実際に観てみると・・

申しわけないが,これではメジャーな配給に乗らないことで納得。


共演の女優さんは日本人だが,パリを中心にCMモデルとして,ヨーロッパで活躍している人らしい。

ご多分にもれず,原作とまったく違う京都の芸妓役。

そのまんま“フジヤマ・ゲイシャ”の世界・・

わかりやす過ぎだ。


こういう作品の常として,日本語の演技が拙いことが多い。

演出家が外国人なので,こればかりはどうしようもないのだが,

それでも,脇の石橋凌や藤村志保のようなベテランはまだいい。

このモデルさんのような,ほぼ演技素人の場合は,正直かなりツライ。。


顔立ちは,いかにも欧米人好みのアジアン・ビューティーの典型。

京の芸妓なのに,モデルっぽいスレンダータイプ・・

小顔だし肩のラインが張っている。

つまり,日本髪も和装のシルエットも,どうしても様にならない。

やたらと披露したがる日本舞踊も,かなりしんどい。


このモデルさん,左顔(向かって右斜横から)のショットは,頬が丸くてまだ良いが・・

右顔がどうも・・

それなのに,前半はなぜか右顔のショットばかりだし,

後半は,思い立ったように,左顔ばかりになる。

あえて,そうしたのだろうか?


物語そのものは,現代の日本が舞台なのに,荒唐無稽で笑ってしまう。

わざと,笑わせようとしているのかもしれないが・・


ラストの刑務所の面会シーンなんてあり得ない。

刑務官が聞いている傍で,そんな話できるわけないだろう!

と心中で突っ込んだ。


日本は世界でも治安のすぐれた法治国家なのに・・

どこか,アジアの開発途上地域と一緒くたにされている印象だ。

これはあくまで,欧米人のイメージする日本観光映画の範疇だろう。


申しわけないが,同じ原作の映画化としては・・

加藤泰の『江戸川乱歩の陰獣』(1977年)のほうが,はるかに上質といって良い。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
確かに、主演女優のあの日本舞踊は、日本人として見ていて正視するのが辛かった!
つまり、下手くそ過ぎ!
更に、顔も西洋人が好みそうなアジアンクールビューティーではあったけれども、日本髪には似合わない様なえら骨の張り具合と着物には似合わない様な肩のラインがどうしても気になった。
最初のシーンで西村和彦に間違って撃たれて死んだ女優の方がむしろ綺麗だし着物も似合っていた様な気もしないではない。
まあ、外国人監督にしてみれば、フランス語に堪能で怪しげな雰囲気を持った西洋人受けする女優が必要だったのだろうが…
それにしても、この「陰獣」の世界感、いかにもフランス人が好きそうな内容である。
私は以前、フランス人の女友達のホームパーティーで、あるフランス人男性と知り合ったのだが、その男性は会うなりあまり好く知りもしない私に向かって、いきなり「O嬢物語」(所謂SM小説)について熱く語り出し、その話を私は延々と一時間くらい聞かされた。
あの時の彼の嬉々とした表情は今でも私のトラウマになっている。
まりりん
2010/05/30 06:11
もう一言是非言っておきたい事がある。
外国人が日本女性の風習を描く時、必ずと言って良い程登場するのが、風呂場で女が男性に傅き性的なサービスをするシーン。
普段、女の方からサービスを常に求められている西洋男にとっては、正に夢の様な世界なのだろうが、日本女性が皆風呂場でそういう事をするとはくれぐれも思って下さるな!
あれは、日本でもしかるべき場所でそれなりの高いお金を支払わないと受けられないサービスですので!
まりりん
2010/05/30 06:27
まりりん様
コメントありがとうございます。映画の記事にコメントが付くことは久々なのでよかったです。あの風呂場でのシーンは目を覆うばかりでしたね。日本や日本人に対する欧米の偏見ってスゴイものがあるように思います。フランスのように日本文化を高く評価する国ですらこんななのかと,けっこう愕然としました。
遊歩人
2010/05/31 23:29
遊歩人様、お返事有り難うございました。私は'77の「江戸川乱歩の陰獣」も以前に鑑賞した事があります。仰る通り、こちらの映画の方がいかにも乱歩らしいレトロな妖しげさが漂いながらも下品ではない良質な作品だったと思います。
大物変態オヤジを演じた大友柳太郎(この人は決して器用で巧い役者ではないですが、存在感が抜群で、この映画では特にいかにも善人で真面目そうな外観と裏の顔とのギャップが良く出ていましたよね)や、謎の美人人妻を演じた香山美子はピッタリだと思いました。
が、主人公の明智小五郎役のあおい輝彦はちょっと違うかなぁーと感じたりもました。
もっとシャープな感じの、物静かな色気のある俳優にやってもらいたかったなぁ。
まりりん
2010/06/02 14:17

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