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zoom RSS 『火の馬』 〜天才パラジャーノフの不思議な世界〜

<<   作成日時 : 2009/09/28 23:51   >>

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今年の京都駅ビルシネマは9月・10月の2か月に渡って催され・・

9月と10月ではプログラムが異なるのだが・・

先日,9月のラインナップで重大な?見落としをしていたのに気づいて,日曜の晩にあわてて観にいった。


なんと!セルゲイ・パラジャーノフの処女作『火の馬』(1964年・旧ソ連)がラインナップされていたのだ。

パンフはそれなりにチェックしていたつもりなのに,こんな重要な作品を見落としていたとは・・


天才映画作家パラジャーノフは,生涯にわずか4本の長編しか残していない。

旧ソ連の共産党独裁時代,当局からにらまれ,何度も投獄されるなど不遇を囲った人だ。


パラジャーノフ作品としては,以前に『ざくろの色』(1969年)を観てはいるが・・

それは,『サヤト・ノヴァ』という当局に没収され散逸した作品を,他人が再編集したものだったらしい。

私にとって,本人によるオリジナル作品を観るのは,この『火の馬』が最初だったのだ。


カラーだが,スタンダードサイズの小品・・

しかし,その映像はスペクタクルに満ちていた。

ともかく,あふれんばかりの色彩とエキセントリックなイメージの連鎖に魅了されてしまった。

アルメニアの民族的・土俗的なエキゾティシズムがスパイスになっていることを割り引いても,素晴らしいと思う。


『ざくろの色』が,ストーリーテリングを拒絶し,完全に断片化された独立のイメージで構成されていたのに対し・・

この『火の馬』は,まだ「劇映画」としての体裁を保ってはいる。


しかし,これは並みの映画ではない。

ストーリーは一応あるが,そこに重点は置かれておらず・・

「映像の魔力」のみで勝負をしてくる。


映画のテンポはかなり早く,ややテンションが高すぎるきらいはあるが,そのリズムは心地よい。

どこかミュージカル的であり,演劇的なリズムだと思う。

舞台劇のような演出と展開でありながら,しかし,映画として何の違和感もないのがスゴイ。


ともかくキャメラワークが素晴らしい。

忙しく移動し,パンを繰り返し,クレーンを頻繁に使いながら・・

驚くほど動的で,奥行きの深い画面を見せてくれる。


SFXもない時代にどうやって撮ったんだと思わせるショットがいくつかある。

例えば,冒頭,人の上に倒れようとする木の視点からのショット。

例えば,巨大な丸木舟が流れてきて,流れ去るのを,宙に浮いた状態で収めたワンショット。


どこかに「様式美」だとか書いてあったが,これは退屈な「様式」の産物ではあるまい。

一つひとつのショットが,「計算」よりも「感覚」に寄って立ち・・

どこかJ・ルノワールを思わせる祝祭感覚に溢れている。

その点で,完璧な様式美を目指したエイゼンシュテインの『イワン雷帝』などとは根本的に異なると思う。


『ざくろの色』は,正直,少し眠かったが,この『火の馬』は,久々に最初から最後まで惹きつけられる逸品だった。



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