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zoom RSS 映画『サベイランス』 〜エグイけど女性らしい〜

<<   作成日時 : 2010/04/16 23:28   >>

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シネ・ヌーヴォのレイトショーで,ちょっと異色な作品がかかったので観にいった。

あのデヴィッド・リンチの娘,ジェニファー・リンチの最近作『サベイランス』

猟奇的殺人事件の顛末を,フラッシュバック形式で語り,最後に意外な結末を見せるといった趣向。

全編が,田舎町の警察署内での事情聴取をベースに展開する。

サイコ・サスペンスというほどでもないが・・

スプラッターあり,心理戦ありで,この種の映画好きには受けるかもしれない。


モチーフ自体は黒澤明の『羅生門』から着想を得たものらしい。

で,パンフなどには目撃者たちの証言の食い違いについて書かれているが・・

羅生門と違って,証言者同士の言い分が整合しないのではなく,

フラッシュバック映像(つまり現実)と,それに被さる証言者の語りが食い違いながら映画が進行するのがキモだ。


殺伐とした映像の中,子役の女の子が愛らしく救われる。

この娘は劇中でも重要な役回りを演じ,映像的にもアクセントとしての役割を果たしている。

性倒錯系の犯罪映画で,こんな風に子役を使うのは,北米系の作品には珍しいと思う。


カンヌで賛否両論だったとか,「衝撃のラスト」だとか喧しいが・・

ミステリー小説慣れしている人なら解ると思うが,

この"Who done it"パターンは,昔からかなり使い古されたものだ。

しかも,出だしから複線を張りすぎていて(フェアといえばフェアだけど),

勘の良い人なら序盤でトリックに気づくから,犯人が正体を現す場面でも,意外性は薄かった。


犯人役の一人は,なかなか演技達者な印象だが・・

その分,役づくりをしすぎていて,最初からその表情や動きが変質的で,裏の顔が垣間見えてしまう。


私のように,少年の頃から重度のミステリーマニアだったヒネクレ者には,ああ!やっぱり,という印象だが・・

純粋に映画にのめり込むタイプの人は,このラストに驚倒する幸運を得られると思う。


不条理劇というが,父のデヴィッドほど,ストーリーテリングを無視して映像世界に遊ぶ感覚ではない。

やや脚本が甘く,細かいところで辻褄の合わないところはあっても,最後まで筋道だった語りだ。


ヴァイオレンスシーンのエグさは最近の作品としては当たり前な感覚。。
(これが当たり前とは嫌な世の中になったものだけど・・)

ただ,ラストの倒錯的な性描写,最後の「生贄」の場面は,あえてリアルになるのを避け,生々しさを和らげている。

この辺は女性監督らしい采配だと思った。

だから,「セブン」や「ソウ」シリーズみたいなゲーム感覚な嫌らしさはないし,カンヌに出品するだけのラインは確保できているのだと思う。


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