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zoom RSS 映画評論の大家 双葉十三郎氏を偲ぶ

<<   作成日時 : 2010/01/24 15:43   >>

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先週だったか・・

映画評論家の双葉十三郎氏が,先月亡くなっていたという記事を見かけた。

1910年生まれで,享年99歳。

1930年頃から映画評論を始めたというから,その世界では生き字引的存在だったはず。

私のような旧作映画ファンにとっては,既に歴史上の偉人であり・・

つい先月までご存命であったということの方が,むしろ驚きだった。


故淀川長治氏とは,同年代で懇意の間柄だったらしいが・・

双葉氏は東大卒のインテリだし,淀川さんほど癖の強い(偏りのキツイ)人ではなかったように思う。


この人の著書を,私は文春新書の『外国映画ぼくの500本』しか持っていないが・・

その元になった『西洋シネマ体系 ぼくの採点表』という全6巻に及ぶ大冊を,東京にいた頃,新宿の書店でしょっちゅう立ち読みしていた。

古今の9000本近い洋画評が収録された百科事典のような便利な本だった。


氏の真骨頂は,これまでに観たあらゆる種類の作品(アート系からB級・C級まで)を,一つの尺度でもって一括して点数付けするという趣向。

そこには双葉氏なりの信念と一貫性が見られたが・・

「採点表」で,氏が最高点を付けた作品には,『天井桟敷の人々』があり・・

ジャン・ルノワールから『大いなる幻影』と,なぜか『河』を選んでいたりする。

2本とも,ルノワールという映画作家の本質が見えにくい「整った作品」だと思う。

ある種,公開当時にリアルタイムで観たときの「当たり前」の感覚で,普通に映画を評論する人といった印象だ。


氏の文章から,その評価尺度を私なりに表すと・・

「映画というメディアでもって人に何かを伝えるときの機能面での完成度」

・・といった感じだ。

映画全盛の古き良き時代に築かれた罪のない手法で・・

ある意味,時代や分野など,さまざまな垣根を取っ払った功績はある。


反面,言葉で表現し得ない「フィルム的感性」というものには基本的に無頓着だったように思う。

だから,表現実験的な作品や,観る側の感性を問うような作品については言及できないし・・

例えば,小津安二郎映画の魅惑の本質などには迫れない限界があった。


ともあれ,映画が幸せだった時代が,また少し遠のいた。

故人の業績を偲び・・

<黙祷>


外国映画ぼくの500本 (文春新書)
文藝春秋
双葉 十三郎

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