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zoom RSS 『地下鉄のザジ』 〜モーションピクチャーの醍醐味〜

<<   作成日時 : 2009/11/29 12:15   >>

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テアトル梅田で,ルイ・マルの『地下鉄のザジ』を観た。

1960年の作品で,誕生50年を記念して,デジタルリマスターが施されたニュープリント版が公開されているのだ。


9月に京都駅ビルシネマで特別上映されていたが・・

新作ロードショーと同じ料金だったので,(失礼ながら)駅ビルシネマのような環境ではなく,ちゃんとした映画館で観たいと思って封印していたのだった。


ルイ・マルといえば,『死刑台のエレベーター』や『鬼火』のようなサスペンス満載なシリアスドラマで知られているが・・

この作品は,シュールなスラップスティック・コメディ。

その手腕や如何に? というところだが。。


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まず冒頭のタイトルロールは,疾走する列車の先頭部からの景観。

視線が吸い寄せられるような感覚が心地よい。

ちょっとジャン・ルノワールの『獣人』を思い出した。


モーションピクチャーの醍醐味を表現するこういった映像感覚は・・

それだけで,ああ良い映画にちがいない,と思わせる。

力量のある作家の作品というのは,その冒頭から感じるものがあるものだ。


予想通り,本編に入ると,一貫した映像リズムでたたみ掛けてきた。

ストーリーはあってないようなもの・・ 映像の展開はハチャメチャで先が読めない。

シチュエーションだけ頭に入れたら,あとはジェットコースターに乗った気分でそのスピード感を楽しめばよいといったタイプだ。


早回しやコマ飛ばしを多様し,映像のテンポを損なう部分は大胆に捨て去っている。

こういう手法は,ルネ・クレール以来のフランス喜劇の伝統だが・・

その映像感覚は今観ても斬新だ。


ザジと正体不明のオジサンとのシュールな追いかけっこなど・・

チャップリン映画のような理詰めのアクロバットとは違って,映像の繋ぎがデタラメなのが楽しい。

1970年代に日本のテレビで流行したナンセンスコント(例えば「ゲバゲバ90分」みたいな・・)は,こういう作品の影響を受けているのかもしれない。

ちょっと,ジャック・タチの『プレイタイム』(1967年)を思い出したが・・

タチの作風はチャップリン同様に端正だが,そういうものとはやはり違う。


エッフェル塔での,高所恐怖症の人なら見ていられないシーンや・・

レストランでの乱闘のような派手なシーンのほかに,

カフェでの何気ないショットでも,パネルの張り替えを背景にして立体的なモーションを仕組むなど,やはり凡手ではない。


結局,ノワレ叔父さんの職業は,何だかよく解からなかったが・・

そんなことはどうでもいいというのが,この作品の本質だろう。


それにしても,こんなに若いフィリップ・ノワレを観たのは初めてかもしれない。

子役のカトリーヌ・ドモンジョって,芸名だと思うが・・

やっぱり,カトリーヌ・ドヌーヴとミレーヌ・ドモンジョを足して二で割った洒落なのだろうか?


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2009-12-19

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