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zoom RSS 映画『切腹』 〜言語を絶する凄絶さとその波紋〜

<<   作成日時 : 2009/09/26 15:35   >>

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惑星直列並みの5連休がすんで,2日間イソイソ働いたと思ったら,もう週末・・

妙な生活テンポで,リズムが狂うやしきり。。


連休中,シネ・ヌーヴォで開催中の

「生誕100年記念 撮影監督・宮島義勇の仕事」に寄った。


如何にもシネ・ヌーヴォらしい「映画マニア」な切り口だ。

クラシックシネマのファンとしてはありがたいが・・

もっと堂々と解かりやすい名画座ラインナップでいいのに・・と近ごろ思う。


ところでこの,知る人ぞ知る鬼才・宮島義勇・・

単なるキャメラマンでなく,照明まで取り仕切る「撮影監督」という地位を確立した草分けだという。


一時は宮川一夫とも並び称せられたそうだが・・

もともと左翼系の人で,独立プロ運動からドキュメンタリーへと傾倒し,インディペンデントへ流れていったようだ。


***********************************

先日観たのは2本。

どうしても観ておきたかった小林正樹の『切腹』(1962年)と・・

ついでに観た吉村公三郎の『夜明け前』(1953年)。


『切腹』は,黒澤の『用心棒』,『椿三十郎』以降に流行った残酷リアル時代劇の代表的名編。

その凄絶さは言語を絶するものだ。

前半の惨い切腹シーンは,観ていて身体が強ばって仕方なかった。


そして,巨大扇風機で草原をなびかせながらの果し合い・・

時代劇慣れしない仲代達矢や丹波哲郎の殺陣にはいまいちキレがなく,少し残念だったが,

これもリアルを追求するがゆえか。。


武家の対面偏重や人の心を持たない官僚体質を乾いた視点で暴き出し,テーマ性やドラマ性を高めた。


この種の作品により,それまで無邪気な絵空事だった明朗時代劇はこっぱ微塵に吹き飛んだ。

それは,60年代という時代の要請でもあったのだろう。


一方で,これら残酷モノは,「時代劇」を女性や子どもが観るものでは無くしてしまった。

結果として映画業界の退潮を加速化し,それまで興行を牽引してきた時代劇は完全に衰退へ向かった。

ゲージュツとしての質を高めることが招いた皮肉な結末。


世界同時多発のヌーヴェルヴァーグの波紋は,日本の時代劇をも直撃していたのだ。

そういった映画史的な資産としても,価値のある作品だと思った。


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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
遊歩人様
仰る通り、この映画に漂う空気は、終始張りつめていました。
白黒映像での光と影の鋭い使い方、場面場面で切り替わるカメラアングルの巧みさに、臨場感を通り越して息苦しささえ感じる程でした。
主人公の娘婿の凄惨な竹光での切腹シーンを見ながら、昔最も残酷な処刑方法で、竹のノコギリで何の関係もない通行人に、辻に肩から下を土に埋められた下手人の首を、一回ずつ引かせて長い時間苦しませて絶命させる刑があったというのを何故か思い出していました。
まりりん
2010/08/15 01:26

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