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zoom RSS 映画に歴史は存在しない? ナナゲイ&蓮實先生

<<   作成日時 : 2009/06/20 13:11   >>

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第七藝術劇場で,今日からビクトル・エリセの『ミツバチのささやき』『エル・スール』が1週間だけ上映される。

これは,京都みなみ会館などで,今年の初めごろかかった企画上映だから,半年遅れでやっと・・といったところだ。

ナナゲイは基本的に新作中心志向で,旧作にはつれない。

そこが,新旧に拘らず,頻繁にレトロスペクティブをプログラムに交えるシネ・ヌーヴォとは大きく異なる点だ。


ナナゲイは,ほとんど話題にならず埋もれてしまうような社会派作品をピンでかける。

なかなか日の目を見ない作品をフィーチャーして,公開機会を提供するというのは,それはそれで姿勢として素晴らしい。

映画『靖国』が,右翼や一部保守派議員の圧力のため,東京の館でぞくぞくと上映中止になったとき,全国でまっ先に予定通りの上映を表明したのはナナゲイだった。

あれは立派だった。心の中で拍手を送った。


ただ,私のような旧作から「線」で映画を観てきたファンには,正直物足りなさを覚える。

だから,最近はめっきり足を運ぶ機会が減ってしまった・・


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今,発売中の『文藝春秋SPECIAL』季刊夏号は・・

「映画が人生を教えてくれた」と題した特集号で,映画ファンにはこの上なくうれしい充実した一巻だ。


映画界やその周辺部のベテラン・巨匠と言われる人たちの文章や対談が中心で,古い時代の話が多く・・

三十代以下だと,よほどマニアでないとついていけないだろうけど。


その巻頭エッセイに,お決まり,蓮實重彦大先生が寄稿している。

題して,“映画に「歴史」は存在しない”


もうタイトル見ただけで,いかにも蓮實流!といった印象。

文言を表面的になぞると,たかだか150年ぽっちの歳月しか生きていない映画に古いも新しいもない!といった論だ。


(ゲージュツとしては)「いかがわしい突然変異の怪物」でしかないようなものの「歴史」を論じることに,如何ほどの意味があろうか。

モッタイつけて「映画史家」を標榜し,専門領域の作品ばかりDVDで観返しているような輩に苛立ち・・

一方で,試写会に集う連中の,最新作だけが映画であるかのような脳天気な「現在」の肯定ぶりは性に合わないと語る。


氏独特の逆説論的な展開ながら,しかし,大いにうなずける。


映画に「歴史」は存在しないというのは・・

古いから価値があるとか,新しいから面白いとか,実質のない観念を捨て・・

個々の作品そのものを,自分の感性で捉えるべきだ,ということなのだろう。

要は,自らの心や肉体に響くかどうかだなのだ。




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