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zoom RSS 映画『マン・ハント』 〜やっと観られる幸せ〜

<<   作成日時 : 2009/05/03 13:41   >>

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シネ・ヌーヴォで開催中の「ケイブルホーグ・コレクション」からの1本

フリッツ・ラングの反ナチ映画の嚆矢ということだが,1941年作だから,当然,リアルタイムでは日本未公開。

1995年になって,ケイブルホーグが発掘・配給してくれたおかげで,ようやく日本で観られるようになったらしい。


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冒頭,欝蒼とした森の中,ウォルター・ピジョンがライフルを構える。

その照準器に覗くのは何と!

いきなりサスペンス満載だ。


全編に,F・ラングらしい陰影の濃い映像が印象的。

ゲシュタポに拷問された主人公を,椅子に座った影だけで観たように描写するシーンなど,"如何にも"といったところ。

また,幸運の矢など小道具の使い方も凝っている。


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前半のドイツでの場面は,とにかく暗くて重苦しい。

半死半生でやっとロンドン港にたどり着くが,ロンドンでの描写もやはり暗い。

夜の場面が多くて,主人公が身を隠すジョーン・ベネットの部屋がやたら暗い。

これもF・ラングらしさ,ということなのだろうか。


そんな中にも,ユーモアと笑いのツボを交える。

ジョーン・ベネットの無邪気なスラングが,上流婦人に通じない。

階級社会の酷薄さで笑わせるのは,やはりこの時代の映画に特徴的だ。


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それにしても,1941年といえば,ドイツのポーランド侵攻から2年,太平洋戦争の始まった年だが・・

ヒトラーがまだピンピンしているうちから,こんな露骨に,「暗殺話」をやってしまうところがスゴイ!

やはり前年にチャップリンの『独裁者』が公開されていたのが大きかったのかも・・


ナチの将校役ジョージ・サンダースは,いつものように嫌らしい敵役だが,悪役としては,ジョン・キャラダインの爬虫類的な気味悪さに軍配。

紅一点 ジョーン・ベネットの演出は,やや湿気が多すぎる感じだったが,敵が語るその最期は感動的だ。

やはりこれは,いかにも対独プロパガンダ映画というやつだ。


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もともとジョン・フォードが監督予定だったため,スタッフ・キャストにフォード映画の常連が,そのまま名を連ねる。

主演のウォルター・ピジョンや子役のロディ・マクドウォールは,同年の『わが谷は緑なりき』へそのままスライド出演。

R・マクドウォールって,我々の世代は『猿の惑星』のチンパンジー博士や,『ヘルハウス』の霊媒師が印象深いが,もとは子役として売った人。

ジョン・キャラダインもフォード映画で名を馳せた。今も活躍中のデヴィッド・キャラダインやキース・キャラダインのお父さんだ。


ジョーン・ベネットは,こんな若い頃の映画は初めて観た。ヴィヴィアン・リーばりに奇麗なのでびっくりした。

こりゃ,夫君だった名プロデューサーのウォルター・ウェンジャー氏が,ベネットの浮気相手を銃で撃った(実話)のも無理はない。(なんて冗談^^)


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