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zoom RSS 『恐怖省』 〜ドアで演出するサスペンス〜

<<   作成日時 : 2009/05/02 12:34   >>

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フリッツ・ラングは,アメリカへ渡ったのち,反ナチズムに彩られた一連の作品群を撮った。この『恐怖省』も,その1本ということになるのだろう。

本作を観ると,映画好きなら誰でも思うことは同じ。

まるで"ヒッチコック"だ!


そのサスペンス演出と,裏腹に散りばめられたユーモアのツボ,緊張と弛緩の交錯するリズム。

何でもない人物をミスリード気味に怪しそうに見せながら,意外な人物がじつは敵だったり・・

だれが味方で,だれが敵だかわからない疑心暗鬼・・

何もかもがヒッチコック的なのだ。


ヒッチコックはその英国時代,ドイツに留学し,表現主義映画を学んでいる。

何がどう影響したのだか詳らかではないが,ラングとヒッチコックの影響関係は明らかだ。


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一方で,『恐怖省』には,ドイツ表現主義時代のラング的な「悪夢」を彷彿とさせる場面も多い。

時計の振り子のショットなどもそうだが,典型的なのは交霊術の場面か・・

闇に浮かぶ交霊術師の白い顔,そのオドロオドロした感覚。

ゆったりとしたリズムから,急激にスピーディーに展開し,考える間も与えないイメージの連鎖。

このアザトさ,このケレン味!これこそラングだ。


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今回,「ドア」ないし「入り口」の演出に執拗な拘りを感じた。


例えば,部屋の照明を落とし,ドアをバタンと閉めた暗闇の中,銃弾の小さな孔ひとつを,ポンと開けて見せる。

ドアを開けると,明るい空間に倒れた男。

(これはぜひ,劇場の闇の中,スクリーンで観てほしい!)

その画を見せるためにツジツマを合わせたろう,と突っ込みたくなる。


そして,「入り口」の縦長な四角い空間へのこだわり・・

列車のコンパートメントに一人きりの主人公,杖をつく足音が聴こえ,入り口の小さな空間に盲目の男が現れる・・ あの瞬間は怖い。


クライマックスの銃撃戦では,屋上に逃げた主人公たちと,それを追って入り口に陣取る敵スパイ。

入り口の電灯を消した闇に,敵の発砲火だけが光る。

緊迫の中,急に奥の灯りが点るや,敵が撃ち倒され,入り口の四角い空間に,漂々とあの男が現れる・・

映画好きなら,う〜むっと唸ってしまう,いかにも映画的なシーンだ。


『ビッグ・ヒート』でもそうだったが,ドアが開くと思わぬ人物が現れる,あるいは主人公の意外な訪問に敵が驚くといったシーンが多い。


ラングは,「ドア」という映画的な小道具,その持つサスペンス性にこだわりがあったようだ。


それにしても,あの唐突に大団円なラストはどうだろう。

『北北西に進路を取れ』を思い出してしまったのは私だけだろうか・・


フリッツ・ラング コレクション 恐怖省 [DVD]
紀伊國屋書店
2007-01-27

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