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zoom RSS 『罪の天使たち』 ブレッソン長編処女作!

<<   作成日時 : 2009/04/13 00:39   >>

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シネ・ヌーヴォの特集上映「フランス映画の秘宝」が週末から始まった。

ここしばらく土曜が休めないので,かなり辛かったが,日曜は朝から出かけた。

何せ,朝1本目の上映はロベール・ブレッソンの長編処女作というのだから,観ないで済ますわけにはいかなかった。


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ブレッソンの映画について語ることには勇気がいる。

映画史の中で孤立した彼の作品は,さまざまな派閥や既定の流れの中には存在しない。

映画の一般的な傾向論では,何も語ることができないのだ。


これまで『田舎司祭の日記』以降の作品しか観ていなかったこともあり,睡眠不足でコンディションの悪い中,けっこう覚悟をして出かけた。

しかし,少々,肩すかしを食わされたと感じるほど,素直に楽しめる映画だった。


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これは,刑期を終えた女子受刑者を引き取って更生させる女子修道院の物語。

シャバに戻ると,またぞろ昔の男どもに食い物にされ,落ちていくしかない女たちを救う,いわば「かけこみ寺」だ。

そんな女の「収容施設」に自ら飛び込んだ裕福なお嬢様育ちの女性が,その純真さ,実直さゆえに,人の心の闇をえぐり,波乱をまき起こしていく・・


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演劇的な要素や説明的な表現を嫌い,およそ映画的と言われるものをすべて削ぎ落とすかのような後年のブレッソン手法は,ここではまだ目立っていない。

まだ職業俳優を使っていて,ルネ・フォールのような一般的な美人女優を主人公に据えている。

ルネ・フォールは,クリスチャン・ジャックの『パルムの僧院』ではパッとしなかったが,本作では修練女姿が似合っていて,なかなか奇麗に撮れていた。

人物のクロース・アップもけっこう多いし,ルネ・フォールの顔のアップではこの時代のお約束通り,紗をかけたりしている。


冒頭,修道院の院長らが,女子刑務所へ受刑者を迎えに行くシーンは,まるでフィルムノワールのようだし,全体にサスペンシヴで,息つく暇もない。

ブレッソン映画は,後年の愛想のない作品でも,じつは非常に速くて,無駄がまるでない。

女子修道院という設定は,無駄や装飾を排するにはかっこうの素材であったかもしれない。


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一方で,簡潔な構図の中に,暮らしや作法のディティールに拘って,精神性を表徴するところには,確かにブレッソン的なものを感じる。

また,全編にキリスト教の祈りの言葉や聖書の文言を散りばめ,それによって「語り」を進めている。

こういうのを,翻案調の字幕で読まされるのは,理解が難しく辛いが,ブレッソンの特質が現れていると言えるのだろう。


なかでは,ルネ・フォールが追放された修道院へ戻ったとき,ベッドに横たわったまま幸福そうな笑みを浮かべ,院長シルヴィーと微笑の交換をする場面が印象に残った。(ここは泣いた・・)


ブレッソン映画としては,字幕の解りにくさを割り引けば,けっこう普通に観られる面白い作品ではないかと思った。


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