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zoom RSS 「木下恵介」再発見のススメ

<<   作成日時 : 2009/02/14 23:55   >>

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昨日から東京方面へ出かけており,今日の土曜は,例によって池袋・新文芸坐へ立ち寄った。

今の特集上映は「松竹大船の天才 木下惠介」

毎度のことだが,こんなのを頻繁にやってくれる館があるというのは,やはり東京の映画ファンは幸せだと思わざるを得ない。

関西ではなかなかこういう特集上映はないし,あっても上映規模が極端に小さいことが多い。


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ところで本日の上映作品は『二十四の瞳』(1954年)と『野菊の如き君なりき』(1955年)の2本立て。

『二十四の瞳』は,今さらクドクド書く必要もない日本映画史上不朽の名作。

戦後,最も多くの観客の涙をふりしぼった映画の一つといわれる。

30年ぶりぐらいに観たが,泣かせるために作り,お決まりのパターンを踏みながら,それでもシラけさせず,しっかり泣かせる演出はさすが・・

このサジ加減,泣かせるワザは,今の演出家たちとは次元が違うと思う。

映画が終わり,館内が明るくなる前に,急いで涙を拭わねばならなかった。

それにしても,怪優・天本英世の若かりし姿が驚きだ。


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『野菊の如き・・』は,これまで何となく避けてきた作品で,断片的にしか観たことがなかったのだが・・

小品ながら,リリシズムあふれる良作で,もっと早く観ておけばよかったと思った。


原作の『野菊の墓』とちがって,視点を現代(映画公開時)に移し,今は老人となった主人公(笠智衆)が,民子の墓のある故郷を訪れるという設定で,道々の回想形式になっている。

60年という時間の隔たりに懐かしさが込み上げ,余計に感動を呼ぶ。

映画の大半を占める回想シーンでは,画面を楕円形にして,スクリーンの外縁部を白場にしてしまう思い切った映像づくりをしている。

水墨画のような枯淡とした画作りといい,美しい自然的情景を織り込んだ胸に迫る叙情性といい,なかなか素晴らしい出来だ。


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木下恵介といえば,同時代的には黒澤明のライバルと目されていたらしい。

特に1954(昭和29)年のキネマ旬報ベストテンでは,あの『七人の侍』を抑えて,『二十四の瞳』と『女の園』が1・2位を占めたというから驚く。


それなのに,この人,60年代以降は振るわず,今も再評価が遅れている映画作家の一人なのだ。

高踏的な評論家筋が積極的に取り上げようとしないのが原因かもしれない。

思うに,あまりにも同時代の大衆受けする作品づくりをしたため,色褪せるのが早かったのか・・ ウェルメイドな商業映画の職人監督という印象が強い。

成瀬巳喜男らと比べると,作家的な特徴が見出しにくく,スタイルの一貫性がない感じなのだ。

しかし,ベタベタの演出をしながら,時おり,驚くようなショットの冴えや見事な省略を見せるといった天才的なところがある。

ひょっとすると,現場でのヒラメキを重視した作風だったのかもしれない。

まあ何にせよ,再発見が急がれる映画作家であることに違いはあるまい。



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