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zoom RSS 映画『嘆きのテレーズ』 〜フランス古典シネマの正統〜

<<   作成日時 : 2009/01/26 01:01   >>

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週末に,シネ・ヌーヴォの「アキムコレクション」から,マルセル・カルネの『嘆きのテレーズ』(1952年)と,ジャック・ベッケルの『肉体の冠』(1951年)を観た。

どちらもシモーヌ・シニョレ主演作で,製作もほぼ同時期。

シニョレといえば,フランス映画史上きっての名女優であり,その最もあぶらの乗り切った頃の双璧ともいえる2本だ。

どちらの作品でも,やはりシニョレは素晴らしい!

特にスクリーンで観ると,その魅力は際立っている。

いわゆる美人女優じゃないのに,その存在感,観る者を惹きつける力は大変なものだ。


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『嘆きのテレーズ』は,戦後のカルネ作品としては,かなり気を吐いた力作であると思う。

カルネの場合,どうしても,映画史上の金字塔『天井桟敷の人々』ばかりが取り上げられるが,小品にも味わいのある名品が多い。

戦前なら『霧の波止場』や『北ホテル』,戦後ではやはりこの『嘆きのテレーズ』が印象深い。

1930年代からの詩的レアリスムの正統派であり,暗いペシミスティックな作風ながら,間延びのしない適度にスパイスの効いた演出が持ち味だ。

堅実で職人気質な感じだが,フランス古典シネマの古き良き伝統の継承者として,貴重な映画作家であったと思う。


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本作では不倫愛の激しさを語りながらも,乾いた冷徹な演出がサスペンスを盛り上げる。

シニョレのほとんど喜怒哀楽を失ったかのような演技は,いささかエキセントリックだが,静かに女の哀しさとしたたかさを表現して力がある。

野卑で短絡なイタリア男ラフ・ヴァローネの「動」との対照で,静と動が化合する感じが良い。

そして,何といってもシルヴィーの老母。不随になってからのあの目の描写は凄いの一言。


エンディングは,郵便配達人が教会の鐘の鳴り響く街を手紙を運んでいくシーン・・ 

その突き放すような感覚は,運命の皮肉を物語って素晴らしい。


私はこの時代のフランス映画がやっぱり好きなのだ。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
遊歩人様

良いですね!
シモーヌ・シニョーレの「嘆きのテレーズ」そして「悪魔の様な女」なんかゾクゾクしましたよ!
表情に喜怒哀楽を敢えて表さないまま、視線だけで感情表現出来る魅力的な女優でした。
決して美人ではないけれど、ずっと見ていても見飽きない不思議な雰囲気を持った人ですね。
イブ・モンタンが彼女を選んだ理由が分かる様な気がします。

まりりん
2010/06/18 00:08
まりりん様
『悪魔のような女』のシニョレは凄かったですね。昔のフランス映画のサスペンスは独特の雰囲気がありました。シニョレは娼婦の役が多かったですが,肝の据わった良い女優でしたね。よく比較されるジャンヌ・モローより,女っぽさでは勝っていたかな・・
遊歩人
2010/06/18 08:32

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