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zoom RSS アキムコレクション DE 堀潤之氏トークショー

<<   作成日時 : 2009/01/21 22:26   >>

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先週末,シネ・ヌーヴォのフランス映画特集「アキム・コレクション」が始まった。

初日にトークショーがあるというので行ってみた。

ジョセフ・ロージーの『エヴァの匂い』の上映後,映画研究者・堀潤之氏(関西大学准教授)のミニ講演があった。

1976年生まれというから,私よりずっとお若く,恐らく1970年代もリアルタイムではご存じないはず・・

しかし,どんな領域でも,「研究者」と名のつく人は大したもの。

私のようなフランス古典映画ファンには,いろいろ面白い話が聴けてよかった。


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アキム兄弟のプロデュース作品というのは,今回上映される16本のほかには数えるほどしかなく,全部でも二十数本らしい。

戦前から70年代まで活動した割りに,これはかなり少ない。

大ハズレしない企画を,人気・実績のある監督・俳優で撮り,興行的成功率は高かったようだ。


今回の特集にラインナップされているロジェ・バディムの『輪舞』は,1950年のマックス・オフュルス作品のリメイク。

堀先生曰く・・
「(バディムの)『輪舞』はハッキリ言って・・・ まあ,これは止めときましょう。」

思わず大笑い。 上映予定作を「つまらん」とは言えないよなぁ。

オフュルス版は何度も観ていて好きな作品だが,バディムのリメイクはねぇ・・


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堀先生によると,今回のラインナップ中では,ジャック・ベッケルの『肉体の冠』がいちばんの傑作ではないかとのこと。

なるほど,そうかも・・

戦前の詩的レアリズムの良質な伝統を受け継いでいる,というのはうなずける。


この作品,じつは戦前に,監督ジュリアン・デュヴィヴィエ,主演ジャン・ギャバン?で企画されながら,実現しなかったとか。

戦後,アキム兄弟のフランス復帰第一作として,ベッケルから監督の申し出があったらしい。


「ベッケルで良かったと思います」と先生が言われたので,また,うなずいてしまった。

ペシミズムを絵に描いたようなこの題材,デュヴィヴィエでは,いかにもベタベタの浪花節劇場になったに違いない。

ただ,主演はセルジュ・レジアーニよりギャバンのほうが良かったかな・・


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良くも悪しくも,戦前からのフランス古典シネマの正系であったアキム兄弟は,ヌーヴェル・ヴァーグとはやや距離を置いていたようだ。

ただ,シャブロルだけは,他人の金で撮りたいといってアキムと組んで2本撮っている。

ほかに,ゴダールやトリュフォーもアキムと交渉はあったようだが,実現しなかった。

結局,ファイナルカット(最終編集)権がアキム側にあるとした契約条項がネックになったらしい。


それにしても,ときの急先鋒だったヌーヴェル・ヴァーグの若者たちが,アキム兄弟の老獪ぶりに翻弄されたという話は興味深かった。

特にトリュフォーがだまされていた(?)話・・ 


ゴダールはアキム兄弟を,「最後の(映画)プロデューサーだった」と語ったとか。

興行師であり,山師であり,そして詩人でもあった・・

昔は日本にもそういうプロデューサーがけっこういたのに違いない。


60年代以降,映画は急速に商業化し,企業化してしまったが,アキム兄弟だけは独自のスタンスを貫いたようだ。

マーケティング主体の企業的生産方式が幅を利かせる今こそ,彼らの足跡をふり返る意味があるのかもしれない。

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