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zoom RSS 映画は映画館で観るべきか?

<<   作成日時 : 2008/12/23 12:53   >>

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いよいよ暮れも押し迫って,何だか慌ただしい。

昔はこの季節になると,お正月映画の話題がマスコミをにぎわしていたものだ。

その頃は,アメリカ映画のヒット作や,邦画の話題作,007シリーズのような定番は,満を持して「正月封切」という慣行があった。

海外ヒットの噂が広まり,配給会社の大げさな宣伝で盛り上がり,クリスマス〜正月を待ってついにお披露目! というお定まりのパターンだった。

今の洋画は本国と同時期の公開が多く,ほとんど間髪をいれず,盛り上がる間もなく,(私などが知らない間に)公開されている。

その大きな理由の一つが,「海賊版対策」だと何かの記事で読んだことがある。ハリウッド映画の業界団体の話だった。

要するに,違法コピーのDVDが流通する前に世界中で公開してしまおうという話で,いかにもアメリカ的なそのマンマな発想だ。

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“映画は映画館で観るべきか?” 

おかしな問いだと思うが,同時にある意味,本質的な問いなのかもしれない。

自分の部屋にいて,ビデオやDVDで,「映画を観る」ことを疑似体験できるようになって久しい。

もともと「映画を観る」とは,劇場の暗闇の中,ひと時,スクリーンに投影される夢の世界に浸り,そこに集う大勢の人たちと,映像体験を共有することにほかならなかった。

さらに,「映画を観る」とは「街に出かける」ことをも意味した。映画観て,コーヒー飲んで,買い物して,食事して・・

ほとんど映画館でしか映画を観ない私には,口幅ったいけど,「映画館」に関する様々な体験と想いがある・・

チャップリン映画などは,館内にコダマする笑い声とともに観た。みんなで大笑いすると,気分が盛り上がり,楽しさは何倍にも増幅された。

感動作は,周囲の女性のすすり泣きとともに観た。自分も目頭が熱くなった。大スクリーンに浸っているからこその感動だった。

サイレント映画を生演奏や活動弁士つきで観たり,逆にまったくの無音で,誰かのイビキつきで観たりすることもある。

そういうときこそ,劇場でみんなと一緒に観る醍醐味をもっとも味わえた。

フィルムセンターで小津安二郎の戦前の作品を観たとき,水久保澄子という女優に魅せられた。ところが,その後,ビデオで観返したら,何もかもが色褪せてしまった。

闇に浮かぶスクリーンという別世界の魔力を思い知らされた瞬間だった。

それらは非日常な体験であって,いつもの明るい部屋で,酒飲みながらテレビを観るのとは明らかに違うのだ。

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今は,なかなか映画館へ足を運べない状況にある人が多いのは事実である。

昔はどこにでもあった「街の映画館」が,今は消えてしまってないのだ。

映画人口の減少とともに,映画の配給は効率の良いシネコンに統合された。

シネコンは郊外にあっても,ある程度の規模の都市にしか立地しない。調べたわけではないが,日本の大半は「映画館のない街」になってしまったのではないだろうか・・・

一方で,映画1本1800円という基本料金は高過ぎると感じる人が多い。私が言うのもなんだが,たしかにこれは高い。

近年のハリウッド作品などは,料金なりの値頃感を出そうとしてか,ムダに長たらしい映画が増えている気がする。冗長な作品が多くなり,よけいに敬遠されるという悪循環があるように思えてならない。

そして,近ごろは新作や話題作でも1年も経たずにDVDになるので,何も高い料金払って映画館に行かなくても,レンタルに出るまで待とうという意識が広がっているようである。

こういった状況は,果たして「映画」の未来にどのような影響をもたらすものなのか?

様々な異論・反論はあるかもしれない。

ただ一つだけ,はっきり言えることは,「映画」を映画館で観る人がいなくなったら,もう「映画」は生産されなくなるということだ。

モニターで観るために生産されるものは,やはり「映画」とは呼べないのだ。

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